境内はもえぎ色

今月も多忙につき、急遽のお参りとなりました。先の彼岸永代経から1か月も経っていないのに、お山は黄緑色、まさに「萌木色」です。先週は、夏日もありました。そして快適な温かさ、今から夏の暑さを予感させるお参りとなりました。そして、お同行さまには、新緑の中にあって、草刈り、剪定など、忙しくしておられ、いつもながら、感謝の気持ちいっぱいです。休耕田には黄色い菜の花が一面に咲き誇り、モミジの花にミツバチが飛び交う様は、楽園を思わせてくれます。

  

親先生より 4月は、「般若(誰の中にも「仏の心」がある。正しい生き方は、すでに仏の心が知っている)」と、いただきました。  「般若」は、よく耳にします「般若心経(摩訶般若波羅蜜多心経)」に出てくる「般若」です。松江市出身の故・中村元先生は、仏教語源散策の中で、次のように説いておられます。般若と言うと恐ろしい形相をした鬼女の面を連想する人が多いが、奈良の般若坊という面打ちが始めたということらしいと…。般若は、サンスクリット語で、「プラジュニャー」、その俗語で「パンニャー」、〝悟りを得る真実の智慧〟〝全てを全体的に把握する智慧を意味すると…。…(中略)…菩薩の修行法として、六種の波羅蜜(完成)があげられている。それが六波羅蜜であって、「六種の完成」とは、(1)布施(ダーナ)の完成、(2)持戒(シーラ)の完成、(3)忍辱(クシャーンティ)の完成、(4)精進(ヴィーリヤ)の完成、(5)禅定(ディヤーナ)の完成、(6)智慧(プラジュニャー)の完成であると…。すなわち、第六番目の智慧の完成が般若波羅蜜(プラジュニャー・パラミダー)である。般若波羅蜜とは、完全にして最高の智慧であり、布施、持戒、忍辱、精進、禅定の五波羅蜜は方便(手段)としての実践活動にほかならない。対して般若波羅蜜は、直接悟りに結び付く別格の波羅蜜で、他の布施などの五波羅蜜を成立させる根源的な叡智である…と。般若経という膨大な大乗経典があると…。玄奘三蔵訳の『大般若波羅蜜多経』(大般若)六百巻のように諸経典を集大成した一大業書もあれば、『般若波羅蜜多心経』(般若心経)のように小部の者もあり、一律に論じられないが、いずれも菩薩の修行法としての般若波羅蜜を口を極めて褒め讃えていると。釈尊といえども過去世に般若波羅蜜を修行して仏陀となられたと…。

  

また、日本画(草絵作家)故・芘田圭子氏(大阪出身・1949年真言宗善通寺派大本山隋心院にて得度)の『心経百話』には、次のようにあります。――第三話 般若…… 般若は仏の智慧であります。 何度か繰り返すうちに覚えてください。 仏の智慧とはどんな智慧でありましょうか。 本当の仏の智慧を探してみましょう。 見つかるかどうか私の方法で探してみましょう。 何日か前、小さい小さい浅い緑豆のような一粒が土からのぞきました。 その小さい粒は少しづつ膨らんで口を開きました。 私たちに口があるようにその小さい粒にも口があったのです。 それは草の芽でありました。 私たちの口に歯があるようにその小さい粒にも葉が見え出したのです。 それは草の芽でありました。 その芽の歯は葉でありました。 そうです。口や歯だけでなくその葉の芽は私たちにある目のように草の芽として伸びはじめたのです。 いまに私たちに鼻があるように草にも花という華がるのが分る日がきますね。 それは日本さくら草です。 花だけではありません。 樹も、石も、苔もみんなみんな。 みんな生き生きしています。 いまここにあるもの、ここだけでなく、そこにあるもの、それが般若なのです。それがそのままに。――

  

そして、あとがきとして、――日の出を見て、日本もインドも同じ仏さまを拝んでいるのだなと思うと…。それは、お釈迦さまも、真言の大日如来もインドからお迎えしているからであると…。ところで、世界で一番古い宗教…ゾロアスター教のご本尊は「マズダ」というと…。「マズダ」とは、アフラ・マズラ、即ち智慧と光のことであり、般若(仏)と日輪のことになると…。キリスト教(旧教)の唯一神エホバは、「ヤハウエ」のことであり、すなわち「雷さま」のことであると…。シナイ山に住まいし、閃光をもって岩に十戒を刻んでモーゼに示したと…。イスラム教では、天のお告げコーランと旧約聖書を使っていると…。恵みを与えてくださる日輪、悪を退けてくださる雷さま。世界中が同じ神仏を頂いているのであって、同じ親から生まれた子供のようなもの…、人類も宗教もどうして仲良くできないのかと…。  さいごに、ウクライナの皆さまが、心安らかに暮らせる日を願ってやみません。

新型コロナウイルス感染症は、第7波に入った模様であると県知事さまの話がありましたが、同館であります。オミクロン株も、BA2、XEと、変異しつつあり、感染が益々早くなっていると…。爆発的流行があるような予感がしています。やはり、基本が大切ではないでしょうか。 手洗い・消毒・密にならないなど基本を守り、ワクチンを行き渡らせることで、後遺症の軽減化を確実にしてから、次の策を進めたいものと…。新型コロナウイルス禍の一日も早い終息を強く願うものです。まずは、この一年を無事に乗り切りたいものです。

(合掌)

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