立春となるも待遠しい春

思い立ったらお参り…と、急遽、昨日午後からの行動開始となりました。境内(お山全体)は、すっかり冬色に染まっていますが、水子地蔵さまの周辺には、沈丁花など、春を待つ蕾が今にも弾けそうでした。蝋梅は終わり近いのですが、一方、気の早い梅が少しばかり花をつけていました。目を引いたのは大敵の「杉の花粉」を発見したときでした。今年は花粉を飛ばす雄花がやや少ないように見えましたが、お山全体では途方もない数であり、やはり心配は尽きません。加えて、コロナ禍の下では、間違った扱いにも注意が必要ではないかと…。

  

親先生より 2月は、「一笑多福(一つの笑いで多くの人に幸せを)」、といただきました。

そこで笑いについての話しを集めてみました。今回は、青山俊董禅師(愛知専門尼僧堂堂長、正法寺・無量寺住職)の「日めくり法話・悲しみはあした花咲く」から引用させて頂きました。お話しというのは「春の章(第6話)」にあり、念願の会社に就職されたものの、毎日、お茶、電話、コピーといった雑用ばかりという、ある知人のお嬢さまへの返書から始まる…「笑いもお布施」というもの…。その返書には、お釈迦様の言葉「うづたかき華堆(はな)より、かずかずの華の鬘(かざり)を作りえん、かくのごとく、ここに生まれたるものの、なしとげうべき、善きことは多し《法句経53》」を贈り、日々、部屋に一輪の花を忘れぬよう書き添えられたと…。花一輪あるだけで、嬉しくなり、明るくなるものと…。その人が居るだけで、花が咲いたように明るくなる、楽しくなる人がいると…。その笑顔に接しているだけで苦しみが癒される…、あなたの笑顔で、あなたの「お疲れさま」のねぎらいの一言で、安らぎと喜びを感じてもらえたら素晴らしいこと…と。(中略)……

  

800年前の中国に、廓庵(かくあん)禅師という方がおられ、人の修行あり方を10段階の牛飼いに例えて「十牛図(じゅうぎゅうず)」として説かれたと…。その絵の十番目には、笑顔の布袋さまが大きな袋をかつぎ、ハダシで子供と遊ぶ図柄、そこには、「土を抹(まつ)し、灰を塗(ぬ)って、笑い顋(あぎと)に満つ、真仙神秘(しんせんしんぴ)の訣(けつ)を用いず、直(じき)に枯木(こぼく)して、花を放(はな)って開かしむ」との書き込みがあったと。—―泥んこになり灰だらけになって、人々と全く同じ姿になりきり、いつどこにあっても温かい微笑が、顔いっぱい、体いっぱいにあふれ、神通力だの霊能だのと、怪しげな手段を用いず、ただ共に居るというだけで、人々の心に花を咲かせてあるくと…。日本の昔話『花さかじいさん』の心はこれであったと…。(中略)……

道元禅師は、「ただまさにやわらかなる容顔をもて、一切に向かうべし」とおおせられ、お釈迦さまは、「和顔施,愛語施」という言葉で語っておられると…。朝、昼、夜といただく食事にもその食材は体ごと供養、つまりは捨身(しゃしん)の供養をしてもらっている、それぞれの役を全うしたとき、布施しているといえることであり、私たちは、布施の中に生きていると…。政治家はおのれを捨てて人々の幸せのために命をかけ、医者は医師の使命に、教育者は教育に、父は父の座、母は母としての使命に命をかける時、本当の布施ができたと言えると…。

お地蔵さまにお参りする時のご真言は、「オン、カカ カビサンマエイ ソワカ」、「カカ」は「呵呵大笑」の「呵呵」で、「ハッ、ハッ」という笑い声を表し、「カビサンマエイ」は「莞爾(かんじ)」と訳し、微笑を表すと…。すべての人のありようを花に例え、その花とは常に今ここにあって微笑をたやさないことなのだと…、心に銘記した毎日でありたいものと思うこととあります。

  

そして、同「日めくり法話:良寛戒語の章・「酒に酔いて理(理屈)を言う」には、「笑いには自然発生的なものと、作られた笑いの2つの流れがあると…。嘲笑(ちょうしょう)、蔑笑(べっしょう)、失笑、苦笑、爆笑、哄笑(こうしょう)、大笑、諂笑(てんしょう)、微笑…。日本語には笑いを表現するたくさんの言葉があることに気付くとあります。愛情教育の実践で多くの人々に慕われた故・八ツ塚実先生は、「笑いの質にこだわろう」と呼びかけておられると…。笑いの質というと、微笑は深くあたたかくやさしいもので、母のほほえみ、仏のほほえみに相通じるものであると…。

微笑ひとつ、和顔施で、皆さまが幸せを感じられたら嬉しいかぎりではないかと…。ただし、あまりニヤニヤしてばかりいると、気味悪くも見えてしまうのではと…。和顔施とは、よく修行された結果として自然に溢れ出る微笑なのであろうと…思うことです。

  

新型コロナウイルス感染症は、新規感染者数が急増、「オミクロン株」の爆発的感染がやや低下傾向を見せつつありますが、油断は禁物です。幼児、高齢者、病中の人など重症化の危険のある人を如何に守るか問われています。また社会機能の維持に、エッセンシャルワーカーの人々を感染から守ることも急務。一方では、抗体検査、PCR検査などの検査キットの不足が問題となったり、亡くなられた方々の中に爆発的感染によって、必要な治療が受けられず、「無念死」された方が死亡者の40%近くもあると聞いており、お国の、行政の、と言える事態ではないかと…。個々の私たちが出来ることは、3密を避ける、マスク、手指消毒、こま目な換気などと、今まで以上に努力が必要ではないでしょうか。ひとり一人が日常の中で改善をして行きたいもの…。新型コロナウイルス禍の一日も早い終息を強く願い、コロナ禍撃退に皆で協力して頑張りたいものです。

(合掌)

管理人