花粉の季節到来

0222_01

御山は、灰色の冬から赤い芽吹きに覆われていました。やっと春を感じて嬉しくなります。ただ、本堂の濡れ縁には杉花粉がびっしりと張り付き、足跡をくっきりと残してくれていました。今、梅が満開、この季節らしい香りが吹く風をして春を迎えてくれています。

0222_02 0222_04

親先生から2月は、「人を先にし、自分を後にす」と頂戴しました。聖徳太子が17条の憲法を定められ、「二曰く、篤く三宝を敬え、三宝とは佛法僧なり…」とあり、その佛宝はお釈迦様、法宝はお経、僧宝はお坊様だそうです。そしてその修行の道に進むには大切な定めがあり、まず「人を先にする」ことだそうです。道元禅師・正法眼蔵・菩提薩埵四摂法には、「利行(りぎょう)は一法(いっぽう)なり。あまねく自他(じた)を利するなり。…しかあれば、怨親(おんしん)ひとしく利(り)すべし、自他(じた)おなじく利(り)するなり。もしこの心(こころ)を得(う)れば、草木風水(そうもくふうすい)にも利行(りぎょう)おのずから不退不転(ふたいふてん)なる道理(どうり)、まさに利行(りぎょう)せらるるなり。」とあると。 そもそも仏教は空無自性、自他不二の縁起観を基としていると。すなわち、自己の存在根拠が他己にあり、他己の存在根拠が自己にあって、自と他が本来一如であるとの思想に基づく考え方から出発しなければならないと。 商売の心得に「損して得を取れ」というが、お客を利して喜ばせるために、利益を度外視した廉価で提供すれば、以後は、仕入れが困難になる。それよりも適正な利潤をあげて良い品を安く提供し続けると、客の利益を確保するためには、自分が儲けつづけなければならないことになる…利他の根拠はまさに自利にあると。 ただしこの原理を単なる当為(あるべきこと)と考えてはいけないと、私たちはある程度自他不二を行じているが十分とは言えず、更に努力しなければならないと。その自覚と絶えざる努力によって、この利行の心がその身に満ちて、草木風水に至るまで、不退不転に絶え間なく自然に行われると。(仏教名言辞典・奈良康明編著より抜粋) 仏道を学ぶための基本は、「人を先にす…」であると、新型ウイルスが発生した今、マスクが買い占められているとか、先ずは、罹患者の方々を助ける、そうすることで結果として自分も助かると考えるのは、やはり火事場の野次馬根性の域を出ていないのでしょうか?今こそ実行あるのみと……。

0222_03 0222_05

(合掌)

管理人