爽やかな秋晴れの御恩日法要

台風10号の通過以来、予想に反して涼やかな秋の高気圧に覆われた日々が続いております。朝晩など寒さを感じるこの頃です。台風通過に伴って海水が掻き混ぜられ、表面海水温が予想以上に下がっているとか、これで、台風そのものが安心の方向を辿ってくれることを願うものです。今日の境内は、高い空に吸い込まれたくなる心地よさがあふれていました。

 

親先生の9月のお言葉は、「実るほど頭の下がる稲穂かな」です。稲の穂が熟してくると穂先が低く下がり頭を下げますが、例えて、人は行じて徳を積むほどに頭は低くなり謙虚になっていくものとの戒めであると。 類義語として四字熟語に「和光同塵」があるとのこと。 仏様が教えを知らない衆生のため、自身の智徳の光を包み隠して、俗世間に交わり、衆生を救済されたことを表現していると。 自分の才能や徳を隠し、世の中に深く交わり、謙虚に暮らしている様子をあらわすものであると。 

 

この熟語は老聃(ろうたん)という人が書いたと言われる「老子」四にあり、その老聃のところに若き日の孔子が訪ねてきた時、その負けん気むき出しの態度を見て、「良賈深蔵若虚〈良賈(りょうこ: 良い商い)は深く蔵して虚しきがごとく〉、君子盛徳容貌若愚〈君子は盛徳(せいとく)あるも容貌(ようぼう)愚かなるがごとし〉」言ったと。すなわち「良い商人は深く収蔵して商品がないかのように見せ、君子は高い徳があっても容貌は愚か者に見える」と戒めたと。 

「聡明で洞察力に富んでいながら、死の危険にさらされる人がいるが、それは他人を批判し過ぎるからである。雄弁かつ博識でありながら、その身を危うくする人がいるが、それは他人の悪をあばくからである。くれぐれも、自己主張は、謙虚で控え目に振る舞え」と言ったと。そして、卑屈にならないくらいにしておくがよいと。 (中国古典四字熟語/守屋洋著)

 

ブロクを書きつつ思うことです。老い先は短くも、頭の下がるほどに実が入っているかどうか、空(シイラ)のモミガラばかりが寄り合ってピンと立つ稲穂にならぬよう、今からでも多少ともお行させていただきたく思うものです。そして、新型コロナウイルス撲滅のために努力されている関係者の皆様には心から応援させていただきたいものです。そして、新薬やワクチンの開発、新型コロナウイルス禍の一日も早い終息を強く願って祈願するものです。また、少し低めになったとは言っても、今年の日本近海の海水温は高いことには変わりなく、台風の被害無きよう重ねて祈願するものです。

(合掌)

管理人