芽吹きの春

 

新型コロナウイルスが迫りつつあります由、個別のお参りをさせていただきました。お山は暖冬のためか、早い芽吹きで、桜吹雪との絶妙の風情でした。今日もお同行さまには草刈りや大木となった立木の伐採など境内の手入れをされていて感謝するばかりです。そしてまた、親先生には、新型コロナウイルスの対策としてアルコール消毒液の設置や本堂などでの注意点などの心得えを配布しておられました。有難く感謝ばかりです。

 

親先生から4月は、「蒔かぬ種は生えぬ」といただいております。よく耳にする言葉ですが、江戸後期の上方でいろはかるたに出てくるそうです。意味は、「原因がなければ結果もなく、努力しなければ何事も得られない」というものです。仏教では、「因果応報」というと…。

ところで、毎日のお勤めでご宝号をお唱えさせていただいている弘法大師さまの「秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)巻上」には、「春種不下、秋實何獲」とあると…、これは弘法大師さまが人間の心の発展段階を十分類しその二番目の心「愚童持斎住心(注)」について解説されている部分に出てくる話しであると。どんな心根の人でも善い縁に遇えば向上するというのが、この二番目の心であり、人の心は一方に固定したものでなく、本来仏性が潜んでいて、それが磨きをかけられれば「凡夫も賢聖に斎(ひと)しからん」と言っている。逆に言えば、何の触発もなければ、愚かなままということであり、必ず種を蒔かねば実りはないと言っていると。(仏教名言辞典より)

  

(注)弘法大師の著作「十住心論(じゅうじゅうしんろん)」につぎのようにあり、これは大日経住心品の思想に基づき人の心を十住心に分類したものであると。第一<異生羝羊(いしょうていよう)住心>悪事のみをなす最低の人の心、第二<愚童持斎(ぐどうじさい)住心>ふとした動機で善心がおこり道徳的に目覚めた人の心、第三<嬰童無畏(ようどうむい)住心>いろいろな仏教以外の宗教を信じてしばしの安らぎを得ている人の心、第四<唯蘊無我(ゆいうんむが)住心>小乗仏教の声聞乗の教を修行した人の心、第五<抜業因種(ばつごういんじゅ)住心>縁覚乗の教を修行した人の心、第六<他縁大乗(たえんだいじょう)住心>大乗の利他の行をなす法相宗の人の心、第七<覚心不生(かくしんふしょう)住心>三論宗の修行をなす人の心、第八<一道無為(いちどうむい)住心>天台宗の修行をなす人の心、第九<極無自性(ごくむじしょう)住心>華厳宗の修行をなす人の心、第十<秘密荘厳(ひみつしょうごん)住心>真言宗の修行をなす人の心であると。(岩波仏教辞典より)

 

老いて顧みると仏教以外に身を染めた若いころもあったなぁと思い返しつつブログを書いております。お上人様にそして親先生にご縁をいただいたのも、偶然(突然)の四国勤務となったことが始まり(ご縁)で、四国八十八ヶ所へのお参りをしたいと願うようになったことからでした。それからの数々のご縁をいただいての現在のあることに感謝し、これからも少しずつ努めさせていただきたいものと思う日々です…。そしてさらに新型コロナウイルスの一日も早い終息を日々祈るものです。

(合掌)

管理人