新緑の眩しい中のお参り

1ヵ月ぶりのお参りでした。境内のお山は、新緑につつまれて心地よく、早くも石楠花が淡いピンクの花をつけていました。新緑の紅葉が目に眩しく、ツツジ、皐月なども、今が盛りでしょうか、今年は、2週間くらい季節が早いもようです。お同行様が草刈りに頑張っておられます。有難く、感謝申し上げるものです。

  

親先生より、4月は、「不自讃毀他戒(<ふじさんきたかい>:自分の自慢、他人の悪口を言ってはならない) 」と、いただきました。

「不自讃毀他戒」は、「梵網経(梵網経盧遮那仏説菩薩心地戒品)」下巻にあり、十重禁戒、及びそれに関連する細かな規定を定めた「四十八軽戒」がある中、「十重禁戒」の第七番目にあるそうです。「十重禁戒」とは、「不殺戒(ふせつかい)」、「不盗戒(ふとうかい)」、「不淫戒(ふいんかい)」、「不妄語戒(ふもうごかい)」、「不酤酒戒(ふこしゅかい)」、「不説罪過戒(ふせつざいかかい)」、「不自讃毀他戒」、「不慳戒(ふけんかい)」、「不瞋戒(ふしんかい)」、「不謗三宝戒(ふぼうさんぽうかい)」であると。

なお「梵網経」は、日本への影響も大きく、鑑真和上の渡来によって、授戒のあり方が変わったそうです。鑑真和上は、東大寺に戒壇を築き、聖武天皇始め430人を授戒、その後、筑紫大宰府の観世音寺、下野国の薬師寺にも、戒壇を設立したとあります。(「お経で学ぶ仏教」東京大学仏教青年会・同蓑輪顕量教授・編著より)

  

道元禅師「正法眼蔵」95巻の重要文言の集約である「修証義」には、第十五節として、次のようにありました。「次には応(まさ)に三聚浄戒(さんじゅじょうかい)を受け奉るべし、第一摂律儀戒(だいいちしょうりつぎかい)、第二摂善法戒(だいにしょうぜんほうかい)、第三摂衆生戒(だいさんしょうしゅじょうかい)なり、次には応(まさ)に十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)を受け奉るべし、第一不殺生戒(だいいちふせっしょうかい)、第二不偸盗戒(だいにふちゅうとうかい)、第三不邪淫戒(だいさんふじゃいんかい)、第四不妄語戒(だいしふもうごかい)、第五不酤酒戒(だいごふこしゅかい)、第六不説過戒(だいろくふせっかかい)、第七不自讃毀他戒(だいしちふじさんきたかい)、第八不慳法財戒(だいはちふけんほうざいかい)、第九不瞋恚戒(だいくふしんいかい)、第十不謗三宝戒(だいじゅうふほうさんぽうかい)なり、上来三帰(じょうらいさんき)、三聚浄戒(さんじゅじょうかい)、十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)、これ諸仏の受持(じゅじ)したまうところなり。

「訳文」 次には、三種にまとめた真心からの戒を、是非とも受けるべきである。第一は全て悪いことを真心からしてはならない戒、第二は全て良いことを真心からしなさいという戒、第三は、生きとし生けるもの一切を救うためになるようなことを、真心からしなさいという戒である。次には、重要な十種のしてはならない戒を受けるべきである。第一はものの命を取らないという戒、第二は他人のものを盗らないという戒、第三は邪(よこしま)な男女の交わりはしないという戒、第四は嘘は言わないという戒、第五はお酒を買わないという戒(迷いのお酒に溺れないという戒)、第六は他人の過ちをせめたてないという戒、第七は自分の自慢をしたり他人の劣っていることを言わないという戒、第八は法も財も施すのに惜しまないという戒、第九は瞋(いか)りを起こさないという戒、第十は三宝を謗(そし)らないという戒である。 以上のように仏法僧への帰依、三種の真心からの戒、十種の大事な戒、これらは諸仏が守り続けてきた戒である。(「修証義解説」(曹洞宗吉祥院住職・丸山劫外師(尼僧様です)著)より抜粋)

  

新型コロナ禍が続いておりますが、SNSという時代のおもちゃが悪用されて、誹謗中傷が絶えない現実があります。お互いに良いところを見つけ合うことに集中したいですね。気持ちを楽にして、「かたよらない心」、「こだわらない心」、「とらわれない心」でありたいと思うのですが、年を重ねるにつれ、皆さまにお世話になることが多く、溜息が出てしまいます。いつもご迷惑をかけていますこと、この機にお詫びし、深く感謝申し上げるものです。

新型コロナウイルス感染症は、いよいよ第4波に突入の模様、鎮静化は望めそうもなく、陣頭指揮を取るべき中枢のお役人が最も避けるべき集団会食を深夜まで行っていたそうですから、神仏にでもお願いするしか無いのではと…。 それでも希望もあります。ワクチンの接種も着々と進んでいる模様ですし、日本でも4社のワクチン開発がすすめられていると聞きます。皆で、医療担当の方々同様に、心からの応援をしたいものです。 そしてまた、新型コロナウイルス撲滅のために努力されている関係者の皆様にも、心から応援させていただきたいものです。新薬や変異株対策など待たれる研究・開発が飛躍的に進み、新型コロナウイルス禍の一日も早い終息が叶うことを強く願うものです。

(合掌)

管理人